「生活に困って就学援助の申請をしたのに、学校からも教育委員会からも何の返事もない。事情を聞いてみたら、教頭が申請書類をシュレッダーにかけた。しかも申請者にお詫びの一言もない」———
とんでもない話だ、ということで、4月28日にその自治体の教育委員会との交渉があり、私も埼玉人権連を代表して出席し、就学援助制度のあり方について考えさせられました。(管理人)
交渉には、教育長さんはじめ、教育部長、学務課長さんら6人と3人の共産党の議員さん、人権連からは地元で就学援助の申請を手伝ってきた役員と県連代表の私の2人が出席しました。当事者のお母さんは急用のために出られませんでした。
就学援助申請問題の経過
経済状況の悪化で父親の給料が大幅に減らされた上に、期間社員として働いていた母親が1月末に不当解雇されて家計が急激に悪化したので、2月下旬に母親が就学援助の申請書を提出しました。申請書には2008年度分の源泉徴収票のほかに、家計の急激な悪化を説明し窮状を訴える手紙と両親の2009年1月分の給与明細書、それに母親の不当解雇に対する労働組合と会社との団交を示す書類、が添えられていました。
その際、応対した学校事務職員が「今年度は申請者が多く予算がないと言われている」「来年度の申請にします」と言うので、「いま2月で、(今年度)まだ2、3月がある。なんとかできないか」と話をしたら「(申請書を)出してみてもいいが、多分来年度4月からの扱いになり、承認されても実際に支給されるのは7月頃です」と言われました。
新学期になっても申請の結果等について何の連絡もないので、4月15日に共産党の議員さんとともに教育委員会に行って状況を聞いたところ、「1月分の給与明細書と労働組合と会社の団交を示す書類が見当たらない」との説明。提出書類不備として、再度、激減した給与明細書と母親の解雇にともなう労働審判の事実を確認する書類の提出を求められました。
4月17日に、母親はとりあえず再度書類を整えて提出するとともに、議員さんは紛失した書類の行方の調査を教育委員会に求めました。
同日、教育委員会から議員に、
(1)申請書類を学校事務の段階でチェックし、教頭の判断で申請に値しない(必要ない)書類と判断し、シュレッダーにかけたらしい。
(2)申請に係わる書類を本人に確認することなく破棄し、本人が提出した書類が欠けたものを教育委員会に送ったことは、まことに申し訳ない。お詫びする。
(3)今後このようなことのないようにしていく、
との報告がありました。
教育委員会との交渉で
4月28日の教育委員会との交渉。初めに教育長が学校の対応の誤りについて謝罪し、就学援助制度に関する学校と教育委員会の連携や職員研修の必要性等について語り、改善していくと述べました。教育部長らは、年度末の事務整理と人事異動等、年度替わりの多忙な中で書類の扱いや事務引継に問題があったことを説明し、必要ないと判断した書類は提出者に返すべきであったし、新年度に多数の申請があり、年度末の申請分も含めて、4月審査・5月連休明け一斉回答という仕組みについての説明不足等、対応の不備を謝罪し、改善に努めることを約束しました。
議員からは、
(1)給与明細や労働審判に関する書類など、個人情報を含む書類があまりにもずさんに扱われており、見過ごしにできない、
(2)国の「行財政改革」の中で就学援助費も一般財源化され、「今年度は申請者が多く予算がない」という状況ではなかったのにも係わらず、以前の「国の補助制度」時代のままの窓口対応になっている、
(3)深刻な経済の悪化の中で、家庭の経済状況が急変している事態に対応する制度の運用になっておらずマンネリ化している、早急に改善すべきである、
(4)子どもを持つ親にとって最もお金を必要とする年度末〜年度初めにお金が届かないのは問題、きめ細かな配慮あるあり方に改善すべきである、
などの指摘がされました。
さらに議員が、具体的に今回の場合の申請が「2月26日」であることを教委側に確認した上で、「援助費の支給は申請した2月から行われるか」と質問しましたが、教委の回答は「冷たい言い方で申し訳ありませんが」として、市の条例上、4月当初の申請と同じ扱いとなり、4月からの支給で実際に支給されるのは4〜7月分を1学期末の7月末となる、との回答でした。「きめ細かな配慮あるあり方に改善」することが急務であることを実感させられました。
人権連からも発言
人権連からは、母親の解雇問題にも相談にのり、就学援助の申請にも最初からいっしょに取り組んでいる役員が、急変した事態に対応しない現状など感じてきた思いを率直に語り、保護者の立場に立って改善してほしいと訴えました。
私も一言発言しました。
学校現場は、いま多忙を極めている。年度末から年度初めは特別だ。自戒と自己反省もこめて言うのだが、多忙の中でとかく弱者の問題が後回しになる。そこで、学校長が誤りを繰り返さないよう注意すると教育委員会に謝罪した、とのことですが、教育委員会に謝罪した学校長、あるいは教頭は、母親に謝罪したのでしょうか。(交渉した4月28日の午後、校長が家庭訪問をした、と後日聞いて、はて、校長が直
接家庭訪問をするのもあまり例はないかな、と正直複雑な思いも………)。
就学援助制度について30年ほど前、熊谷市で、申請書が学校にしかなく、子どもが申請書を学校で(担任の先生から)もらうことを嫌がり泣いて帰ってくる、と言うので、教職員組合の先生や新婦人のお母さんたちと一緒に市教委と交渉し、申請書を市役所の窓口にも置くようにしてもらったことがあります。今回あらためて確認したら、熊谷市では現在も市役所や支所に申請書があり、申請もそこで出来るようになっています。認定をするのは教育委員会なのですから、教育委員会に直接申請書を提出できる方法も検討していただきたい。
限られた時間でしたので、そんなことを述べて、交渉が終わりました。
ちなみに県内市町の就学援助制度についてインターネットで調べてみたら、申請書一つとっても、インターネットでダウンロードできる自治体もあれば学校にしかない自治体もあり、内容についても、援助の対象・内容・申請方法など詳しく紹介している所から、わずか4〜5行の所まで様々。
深刻な経済状況の中で、就学援助の申請が急増していると伝えられています。きめ細かな温かい対応が必要です。本来「義務教育は無償」なのに、実際には多額の父母負担を強いられているのですから。
どんな理由があれ勝手にシュレッダーにかけるなんて、ひどいですね。